オリンピック、世界陸上でたびたび聞くドーピングの裏側

ドーピングはスポーツマネジメントの中でも重要な項目の一つです。陸上競技ではアメリカのジャスティン・ガトリン、ジャマイカのネスタ・カーターの違反が記憶に新しいです。今回はあまり知られていないドーピングの知識についてまとめてみます。

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1. ドーピング違反の3つの基準

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ドーピング違反に該当するかどうかは「Performance enhancing(パフォーマンス向上)」「Athlete health risk(アスリートの健康被害)」「Spirit of sport(スポーツ精神)」の3つの基準から判断されます。

ドーピングはパーフォーマンス向上の観点から禁止されている認識が一般的だと思いますが、服用によるアスリートへの健康被害や競技性の著しい欠如などの観点からも禁止されています。参考までに、1960年のローマオリンピックではデンマークの自転車競技選手がドーピングの服用により競技中に死亡しています。

 

2. 禁止物質だけでなく使用方法も違反になる

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ドーピングの禁止物質は筋肉増強剤や男性ホルモン、ステロイドなどが有名ですが、実は病院で処方またはドラッグストアなどで購入した風邪薬や花粉症の薬、サプリメントなどにも禁止物質が含まれていることがあります。

また、禁止物質のリストにない物質を使用したとしても、使用禁止方法に該当すれば違反になります。血液ドーピングや点滴が禁止方法に該当します。※血液ドーピング:自分の血液を予め抜いておいて競技前に体内に入れることで、赤血球の量を増やして身体機能を向上させます。

 

3. 治療目的なら例外的に認められる

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ドーピングに関しては、「TUE(Therapeutic Use Exemption)」という制度があり、治療目的での禁止物質の使用が認められます。治療上使わざるを得ない状況であったり、身体能力の向上が起こらないなどの制約があり、あくまで先に説明した3つの基準を満たさなければいけません。

 

4. プライバシーに踏み込む「Whereabouts System」

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ドーピングの検査の日程はアスリートには直前まで知らされません。日程を前もって通知してしまえば禁止物質を使用していたとしても何らかの対策をされてしまう恐れがあるからです。ドーピング検査は「今から検査を行う」という通知を直前にするので、アスリートは自分がいる場所を常に報告しなければいけません。この自分の場所の通知を怠ったり、検査に行けなかったりすると、それだけでドーピング違反になります。

この自分の居場所を常に報告することはプライバシーの侵害であると主張するアスリートもいますが、裏をかいてドーピング検査をくぐり抜ける方法がたびたび現れる現在においては突然の検査でないと意味がないかもしれません。

 

5. 検査結果が陽性ならどんな理由があってもアウト

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アスリートには「Strict Liability」という厳しい責任がありますので、例え専属の医師やトレーナー、コーチ、栄養士が間違えて食事に使用禁止物質を混入させてしまったとしても、アスリートは自分自身で判断して体内に禁止物質を入れないようにしなければいけません。文字通り全責任を負うことになります。これは家族や親戚など近しい人が作った食事でも同様です。

ドーピング検査で陽性反応が出た場合、アスリートは言い逃れることはできません。出場した大会での記録の取り消しだけでなく、出場停止などのペナルティが課せられることになります。

しかし、「no fault/no negligence」という制度があり、アスリートに過失がなく、故意にドーピング違反をしたわけではないことが証明された場合、ペナルティ期間が短縮されることもあります。そのため、アスリートは検査が陽性であった場合に自分の過失がなかったことを証明する機会が与えられます。

 

6. 近年問題になっているテクノロジードーピング

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競泳の水着や陸上競技のシューズなどによるパフォーマンスの向上が「Technological Doping」と呼ばれています。禁止物質や使用方法と同様に、ウェアやシューズなどの製品にも使用して良い素材や製法が決まっています。しかし、製品メーカーが規定されている条件をくぐり抜けて新たな製品を開発するので、ドーピング機構側としてもどのように対応するのかは今後の課題でもあります。

製品を使用することで、アスリートの健康自体に問題はありませんがスポンサー契約やエンドースメント契約によって製品使用の独占化が進みますので、パフォーマンス向上とスポーツ精神の2つで問題となることは確かです。

僕が履修した「International Sport Law」という授業のテストでもテクノロジードーピングに対してどのように対応していくのかという問題が出題されました。従来の禁止物質とは異なり、最近のテクノロジーの発展による問題であって対策は十分とられていないので今後注目が集まるトピックでもあります。

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